アレヤコレヤの散文 あたまのなかの引き出し ソレトこれがつながる

ひとり芝居『カスタネット』演出 演ぎ/そこに現る空間の共有

【演出と演じ】

「見立て」がとにかく魅力的

キナリとオフホワイトの中間、やさしいアイボリーの大きな布

それが、花瓶にも 手錠にも 風呂敷にも ブランケットにも ヴェールにも 少女にも 愛しい想い人にも、素材も温もりも大きさも違う幾多のものに変幻します。

 

そして、今回のひとり芝居では女形を取り入れたそうです。

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『カスタネット』を普遍的な物語にするために|末原拓馬オフィシャルブログ「末原拓馬の瞬く間」Powered by Ameba

 

私はカスタネットの夢の踊りが大好きでした。

アイボリーの布一枚が愛しい愛しい想い人になり、横長を活かしてカスタネットのテリトリーからドブロクの居場所のほうへ やさしい踊り、表情がやさしい!

裸足の足の運び方、肩のすぼめ具合、首の傾げ、腕、肘、手、指、指先までやさしい…

 

過剰過ぎないところ、やり過ぎないところ。塩梅が難しいところだと思うんです。女形。(想像ですが)

 

彼の名刺のような淡いグレー上下の衣装。よくその上から朱い女物の着物を羽織って登場します。

今回は着物ではなく、淡いグレーに寄り添うような、これまたグレーの衿付き薄手のコートを着た装いでした。

女形を着物ではなく、洋装で演じたのは成功だと思います。

ドブロクのツバ折れ帽子も、カスタネットの白い可憐な花のコサージュも、とにかく彼に似合っていました。

 

とても近い距離で観ていたのですが、圧迫感や圧力感がなく、彼は背が高いのですが、そういう身体的特徴も意識せず(比較対象物が無いからかも)、「ひとり」だけなのに、国王も靴屋も憲兵もドブロクもカスタネットも現れました。

 

脚立が王宮や城下町への入口門になり、家々の屋根になり。

大きなブロックは机になり、夜空を見上げる窓際にもなり。

物モノも見立てるし、者ヒトも幾人にも見立てます。

 

ドブロクとカスタネットの子守唄デュエット場面は最大の見せ場

カスタネットとドブロクが代わる代わる、唄を紡いで行く様が何と言うんでしょう、くるくるとくるくると表情から佇まいから、声音からちょっとの間で変化して、二人同時にその場に居て見つめ合っているような錯覚にとらわれもするし、カットバックみたいにパート交代毎に現れるそれぞれの横顔が、よけいに相手を想っている感が増されます

 

あからさまにぶりっ子したりシナを作ってるわけでもなく、しかしながら、ちょっと独特な女の子カスタネットと、貧しくて惨めでも格好つけしいの気障なドブロクのぶっきらぼうな眼差し

 

彼の額から鼻梁、あごから長い首へのラインにきれいな白い肌

えらから耳、そして首筋

前髪を下ろした側と耳の後ろにぴったり撫で付けた側がチラッチラッと交互に見える

座った位置によって、どんな角度でどの役柄でどんな表情しているのか…小さい劇場の良さが思う存分味わえました。

 

 

「役を観つつ、透けてみえる役者自身」  なんか演劇の醍醐味だと感じたのです

 

 

布の見立てで辛かった、彼女に見立てる場面

ドブロクにすがりついて抱きしめられても偽りだし、

ドン、って音と共に崩れ落ちる彼女

突き出した腕からハラリと落ちる布

非常に非情な状況下では、倒れた姿そのままに話が続いていく。

美しい場面も、醜い場面も

秀逸でした

 

 

彼の作品の中でも特別というこの『カスタネット

今回のこの演出、役者、ひとり芝居形式、場所、時を共にする観客、はニ度と無い

演劇を「生」で観に行く事

今後も形は変わってもきっと、多くの人の元に届く物語…

 

 

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